深夜徘徊

 昼夜逆転の生活を1限から講義に出ることで一気に治そうとしたのがよくなかったのだろうか?それとも、本屋で本を見ながら考えごとをしたのがよくなかったのだろうか?それとも、運の悪いことが立て続けに起こったのがよくなかったのだろうか?
 気づいたら私は田舎の一本道を歩いていた。深夜3時、4時という時間に歩いている人などいない。新聞配達のバイクが忙しく走っている程度だ。思えば、この一本道は前にも歩いたことがある。ただ、そのときは昼で、高校生が何人も歩いていた。それが夜はどうだろう!人っ子1人いない。左には農地、右には閑静な住宅街があるだけである。
 なぜ私は一本道を歩いているのか・・・そうだ、こたつでいろいろ考えていたらやりきれなくなって、思わず家を飛び出たのであった・・・家を飛び出たからといって、何かが解決するわけではないのに。
 ふと、上を見上げてみると冬の澄んだ空が広がっている。星の命は数万年、人の命は数十年。比べる方が馬鹿だ、と天文学者は言うかもしれない。それに人間と違って星は苦悩しないだろう。けれども、冬のきれいな夜空は不思議と私の気持ちを一時的に、ではあるが、楽にしてくれた。
 もはや私は土手の方には向かわなかった。土手の先には冷たい川が待っている。そしてそこは私の終焉の地になるかもしれなかった。だがその思いをとどめたのは、言葉を発しない冬の夜空の星々であった・・・